2007年04月10日
シーミーに食べるしーみじみと旨いシーミー料理

4月といえば新年度。新年度といえば新しいシリーズのスタートである。
そしていよいよ始まりましたこのコーナーも。ボクは自慢じゃないけれど、沖縄の食べものに案外詳しい。ナゼ詳しいかというと、ボクのお袋は料理上手で沖縄の年中行事にあわせて行事料理を作り、チャンプルーやンブシー、テビチ汁やソーキ汁、イナムドゥチといった昔ながらの沖縄料理を作っていた。というか、お袋の作る料理といえば沖縄料理しかなかったので、普段からそれを食べていたので必然的に詳しくなっていったのである。
沖縄料理が上手だったとはいえ、裏を返せば沖縄料理以外はからっきしで、ボクの記憶に残っている限り、それ以外の料理で食べたのはカレーライスでしょう、それからエート、ライスカレーでしょう、オリエンタル・マースカレーでしょう、ウーン、カレー以外はまったく記憶がない。まあ、そのくらいボクには沖縄料理が血となり肉となっているのである。
そんなわけで、このコーナーではボクの知っている限りの知識を総動員して、沖縄の食べ物について書いていくので「ユタシク ウニゲーサビラ(よろしくお願いします)」。

シーミーとは二十四節気の清明節に行われる祖先供養の行事で、正月と旧盆とあわせて沖縄の三大行事の一つといわれている。シーミーはもともと中国伝来の行事で、清明節に墓前に門中(一族郎党)が集まり、線香を焚き、餅や重箱料理の御三味(うさんみ)、お菓子や果物、お酒を供え、みんなで線香を焚いて手を合わせてご先祖を供養したあと、クヮァッチー(ご馳走)をウサンデー(下げて)してみんなでその料理を食べたり飲んだりしたものである。いわば親戚が一堂に会する宴会と近況報告会も兼ねているのである。

ちなみに墓前に供えた御三味(重箱料理)の中身は魚の天ぷら、揚げ豆腐、豚三枚肉の煮しめ、昆布、ゴボウの煮付け、コンニャクの炒り煮、大根の煮付け、田芋の唐揚げ、赤カマボコ、カステラカマボコなどが入っていた。詰める種類や内容は各家庭によって違うけど、だいたい上記の料理から5品、7品、9品のいずれか奇数で詰められていた。
ボクが子どものころはシーミーはもちろん、旧盆やお正月にも欠かせない料理だったけれど、だんだん食べ物にぜいたくになってくると好んで御三味を食べる人が減っていった。そのため最近ではシーミーには各家庭の自慢の料理を持ち寄り、お互いの家庭の味を食べ比べるようになった。チキンロールやハンバーグ、ミートローフ、酢豚、パスタ、肉じゃがといった和洋中何でもありの、まるでアウトドアでランチを楽しむピクニックになっている。
あ、そうそう、ボクが学生のころから今でもそうだけど、シーミーの翌日になると弁当にはだいたいゴボウやカマボコ、天ぷらや昆布、豚三枚肉の煮しめが入っていることがよくある。それを沖縄の人はシーミー弁当と読んでいる。シーミーの時期になるとクラスの半分以上がシーミー弁当ということもざらであることを明記しておこう。
それにしても、最近になって飽きていたはずの御三味が、妙に恋しくて美味しいと感じるようになった。ボクの親父も好きでよく食べていたので、「それは歳のせいなのかなぁ」と思うと、滋味溢れるシーミー料理だけに「しーみじみ」とした気分になる、今日この頃なのであった。

筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。今年になって共著で3月に『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、5月には『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売。
あ、そうそう、ボクが学生のころから今でもそうだけど、シーミーの翌日になると弁当にはだいたいゴボウやカマボコ、天ぷらや昆布、豚三枚肉の煮しめが入っていることがよくある。それを沖縄の人はシーミー弁当と読んでいる。シーミーの時期になるとクラスの半分以上がシーミー弁当ということもざらであることを明記しておこう。
それにしても、最近になって飽きていたはずの御三味が、妙に恋しくて美味しいと感じるようになった。ボクの親父も好きでよく食べていたので、「それは歳のせいなのかなぁ」と思うと、滋味溢れるシーミー料理だけに「しーみじみ」とした気分になる、今日この頃なのであった。

筆者プロフィール:嘉手川 学(かでかわまなぶ)
フリーライター、沖縄県那覇市生まれ。沖縄のタウン誌の草分け『月刊おきなわJOHO』の創刊メンバーとして参画。沖縄ネタならなんでもOKで特に食べ物関係に強い。現在も『月刊おきなわJOHO』で食べ物コーナーを15年以上掲載中。
著書、編著、共著に『沖縄大衆食堂』、『笑う沖縄ごはん』、『泡盛『通』飲読本』(各双葉社)など多数ある。今年になって共著で3月に『沖縄離島のナ・ン・ダ』(双葉文庫)と『もっと好きになっちゃった沖縄』(双葉社)、5月には『沖縄食堂』(生活情報センター)が発売。
この記事へのコメント
学さん!
石垣島のレベッカです。こんな形で再会できるとは!
頑張ってくださいね、楽しみにしています。
石垣島のレベッカです。こんな形で再会できるとは!
頑張ってくださいね、楽しみにしています。
Posted by レベッカ at 2007年04月13日 17:35
あ、レベッカさん。ハイサイ、こんにちは。
ご無沙汰しています。
もしかしたら最後に会ったのは波照間島以来ですか?
ホントにご無沙汰しています。メールもありがとうね。
2月に石垣島の取材があったけど地元のライターとして
お願いすればよかったですね。すみません。すっかり忘れていました。
また、石垣島の取材があったらお願いしますね。
そしてこれからも、よろしく。
ご無沙汰しています。
もしかしたら最後に会ったのは波照間島以来ですか?
ホントにご無沙汰しています。メールもありがとうね。
2月に石垣島の取材があったけど地元のライターとして
お願いすればよかったですね。すみません。すっかり忘れていました。
また、石垣島の取材があったらお願いしますね。
そしてこれからも、よろしく。
Posted by 嘉手川 学 at 2007年04月17日 13:41
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