「ホップトーンズ」特集♪
今回は沖縄の男性4人組コーラス・グループ、ホップトーンズ(1966年結成)のLPアルバムを1枚とシングル1枚を取り上げてみたい。
「うるま島」歌・ホップトーンズ
(RBCレコード RM-102 1969)
「歌って暮らせば…ホップトーンズ」
(マルフクレコード FFG-28 1980)
ホップトーンズ、何だか妙なグループである。確か私が中学生の時ではなかったか。「サンテ全日本歌謡選手権」というテレビ番組があり、プロの歌手もアマチュアも出演して、10週勝ち抜けばメジャーデビューできるという歌合戦で、ホップトーンズが出演して、1週目で落選した。何故だろう。とてもショックだった。確か、大工哲弘も出演していて、彼は8週勝ち抜いた。落選したときの理由が、歌の意味がわからないということで、これにもショックを受けた記憶がある。
とにかく、私がラジオで聴いていた、ホップトーンズは紛れもなくプロであり、沖縄を代表するコーラスグループだと無意識的に思っていた。そんな彼らが、いとも簡単にしかも審査員にめちゃくちゃ言われて落選ときた。何だか分からなかったがショックだった。後になって彼らが、それぞれの仕事を持ちながらいわゆるアマチュアなグループであるということを知って少し納得したような気がした。そして40年以上もそのスタイルで今も歌い続けているのだから、あの時のショックはもうリセットしてもよさそうだ。
ホップトーンズは男性4人組コーラス・グループ。沖縄中央混成合唱団出身の、金城邦松、池原宏(故人)、金城安雄、川上泰雄が、1966年に結成。普久原恒勇門下のグループ。フォークソングを主に歌っていた彼らに沖縄の歌をということで、普久原恒勇がホップトーンズのために書いた最初の曲が「うるま島」だ。デビューレコードだ。その少し前に「ふるさとの雨」(「芭蕉布」とのカップリング)という歌のバックコーラスでレコーディングに参加はしていたが、デビュー曲はやはり、この「うるま島」であろう。「うる」とは珊瑚の砂のことで、「ま」は島のこと。うるま島とは珊瑚の島=沖縄の別称。文字通り沖縄の歌である。そして沖縄の音楽界にショックを与えたレコードである。
ホップトーンズの代表曲と言えば「ヘイ!二才達」がある。「うるま島」もそうだが、作詞・朝比呂志、作曲・普久原恒勇。朝比呂志(故人)は普久原恒勇の弟で、兄弟コンビの作品。どちらの音源も沖縄音楽ファンなら誰でも知っている曲だ。このアルバムにはないが「語れー小」や「しんかぬ達」も二人のコンビ。普久原メロディーにはホップトーンズは欠かせないということ。歌って暮らせば…、歌って暮らしたいもので、歌って暮らせるホップトーンズに乾杯というところか。
●小浜 司の『ryuQ100歌』バックナンバー:
http://ryuq100.ti-da.net/c73392.html
筆者プロフィール:小浜 司(こはま つかさ)
沖縄県国頭郡本部町出身。幼少期を那覇市で過ごし、中学以降宜野湾市に遊ぶ。大学卒業後ヤマトへ。季節工などの底辺労働に従事しながら、アメリカ、東南アジア、中国、アラブの国々を旅する。沖縄に帰り、クリーニング屋の経営をしながら大城美佐子や嘉手苅林昌のリサイタルなどをプロデュース。「風狂歌人」(嘉手苅林昌)や「絹糸声」(大城美佐子)など沖縄音楽CDを多数製作。2002年、国際通りに島唄カフェまるみかなーを開く。2004年沖縄音楽デジタル販売協同組合に参画しインターネット三線教室を始める。2006年、拠点を壺宮通り(那覇市寄宮)に移し、島唄カフェいーやーぐゎーを開店。沖縄音楽の音源や映像の楽しめる店として好評を博している。著書「島唄レコード百花繚乱 — 嘉手苅林昌とその時代」を発売した。
島唄カフェいーやーぐゎーHP:http://www.ryucom.ne.jp/users/iyagwa/
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