ホント、今年の夏の天気といったら、本土に住む友人各位からライブ配信される「今年の猛暑」と「ゲリラ雨」は異口同音ひどいものだったという。
その中でも筆頭被害者である某外資系企業に勤務する友人なんぞ、気づけば豪雨の中にいたそうで、ナント!彼女の総被害額は、高級バッグ数点とカルガモのような名前の高級靴数点、合算すれば「走行距離の少ない中古車ぐらい」だそうだ。(よくわからんが…)
とにかく、天気予報では<晴れ>のマークだったし、雲ひとつない晴天だった。なのに、たちまち暗雲が垂れ込み「ドリフのカトちゃんが劇中受けるバケツの水量並」の雨量が真上から降ってきたと、荒げて訴えてくる。益々持って理解不能である。
疑心な私にある日、実況中継してきた。
「今、銀座。ザザザザザ…(雨の音か…よく聞き取れない)突然の雨なの。すごいのって…『ガラガラドッカーン!』キャー!聞こえたぁ?カミナリ!言ったとおりでしょ!ザザザザザザ…ツーツーツー」
ハイ、おっしゃるとおりでした。(その雨のせいで携帯電話も水害したオチがある)
もはや、ゲリラ雨に狙われた東京は、ブランド靴で闊歩できない街になりつつあるらしい。突然のゲリラ雨とカミナリ。両方とも怖いなぁ。
ところで、カミナリは「稲妻」ともいう。秋の季語だ。
語源は、落雷の遭った田の稲はよく実る事から『稲の妻』=稲妻になったという。現在の説はもっと科学的っぽい。カミナリの放電により空中の窒素が化学反応を起こし溶解しやすい状態になる。窒素は葉肥といわれるほど植物を大きく育てる肥料分である。その窒素が雨水に溶けて降ってくるから、カミナリの後の雨は「天然の液肥」になるそうだ。そういえば、うちのじいちゃんも「天水は草木を茂らせる」とよく言っていた。
となると、街路樹に「マメ科」の木はいかんのじゃないか?だって、マメ科の植物は空気も雨も上手に栄養にしてグングン育つ。
マメ科の植物は根に「根粒菌」というバクテリアを飼っている。根粒菌は光合成できない代わりに宿主である植物から光合成産物をもらい、植物のほうは根粒菌が空気中の窒素を固定し「アンモニア」にした栄養を得て成長していく。なので、やせ地でもマメ科の植物はよく育つ。例えば、レンゲソウは緑肥として利用されている。
沖縄の県花「でいご」はマメ科だ。黄色の花が垂れ下がる「キングサリ」「オオゴチョウ」健康食品で名を売った「ギンネム」もそう。これらは街路樹としてよく見かける木だ。
「でいごは家を割る」とよく聞くが腑に落ちる話である。厳しい環境下でも栄養補給が出来るので肥料をやらなくてもドンドン育つのだ。(空気を吸っても太る体質の私もマメ科)
沖縄の気持ちよく晴れ渡った青空を仰ぎ見つつ、アスファルトで固められた東京の街を思い出していた。逃げ場を失った雨水は、やがて人を襲うようになった。
沖縄では、逃げ場を失った根がアスファルトの道を割り通行の邪魔をしている。本来の姿では、雨水は土が受け止め、根は土中深いところで地面を支えてきた。自然の包容力が失われたとき、ゲリラ化した「天の恵み」は人に牙をむき出してくる。
ああ、なげかわしくも紀元前にはノアの箱舟が活躍したというのに。21世紀の今、あれだけの材料を賄える森林があるのだろうか。プラスティックなノアの箱舟もちょっとなぁ…
真面目に、地球がやばいのではなく、ヒトがやばいことに気付かなければならない時期に来ていると思う。
あのゲリラ雨は「ドリフのカトちゃん」ではなく、「ひょうきん族の懺悔コーナーで太ったキリストが示す×」ではなかろうか。くわばら、くわばら。