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2008年06月23日

「白花が美しい『イジュ』も…」(比嘉淳子)


今年の春先。庭いじりをしていたら突然腕に痛みとかゆみがドッキングした妙な感覚が走った。「やば!」瞬時にわが腕にナニが起こったか察しがついた。

「毛虫だ。奴に違いない」

ガーデニングを趣味に持つ人の悩みベスト1が「紫外線によるシミ」、2位が「水遣りや消毒が難儀」、3位が「生物による被害」だ(と推測する)。

この3位の「生物」にやられた!と思ったのも、沖縄では2月になればサツキや桜が花盛りである。しかもこれらの木には「毒蛾の幼虫」が好んでつくのだ。

刺された腕はみるみる真っ赤に腫れ上がり、マダラ模様になった。痛いし痒いし、皮膚をカッターでこそぎ落としたいくらいに激痛が走る。

よく見ると、毛虫の産毛のような針が刺さっている。足元には数匹の黄色と黒の色鮮やかな毛虫がウネウネしていた。踏み潰し微塵に討伐した後、勢いよく水で洗い流したが、かかる水さえ痛い。「もう!! ガーデニングなんて止めてやるぅ! 草を焼き払ってやる〜!」。周囲3メートル内の人がドン引きしているがそのくらい痛い。

ここは、都市の住宅街であるから焼畑はできないし、そんなこと当たり前だ。憎しは虫であり、庭ではない。しかし、あの時は庭があるから虫が来る。そうでもしなけりゃ気が済まねぇ〜!の一念しかなかった。

幸いな事に近くに医者がいたので早急な治療を施してもらい、庭も焼き払わずに済んだ。あれから数ヶ月経過するが、今なおマダラ模様は広範囲にやわらかい内腕に残っている。
大体だ。毛虫の分際で毒を持つ事が気に食わない。

毒といえば「ハブ」ではないか。あの鎌首をもたげて「くわぁ」っと大口を開けてこそ威光があるってものなのに。そこで世の中、異に『毒持ち』の多い事に気付いた。

ハブくらげにイモガイ、毒魚にサソリ、毒蜘蛛、スズメバチ、毒女のお局様。
ああ、挙げればキリが無いほど。そして、植物にも有毒植物がある。

代表をあげれば「夾竹桃」。耐潮性・排気ガスに強い事から街路樹や公園に植えられているが、弁当を食べようとしてお箸を忘れた子が、夾竹桃の枝を折り箸代わりにしたところ中毒を起こした事故があった。

また、最近、イングリッシュガーデン人気で広まった「エゴノキ」。白い小花が涼しげでいかにも洋風な家にぴったりな木であるが、実にサポニンという有毒物質が含まれている。他においしそうに見える「琉球柿」、青紫の花がかわいい「ルリハコベ」、沖縄うりずんのシンボルともいえる白花が美しい「イジュ」、ガジュマルに似ている「シマシラノキ」、海岸で見かける「シイノキカズラ」などなど。

これらは、『魚毒』に使い、昔は枝や葉を海中に投棄してその『毒』を利用して浮いてきた魚を獲っていた。しかしながら、現在は、『水産資源保護法』で毒物による漁業行為が禁止されているので絶対にやってはいけない。

では、何故ここにあげたかっていうと、家庭での植樹を避けたほうがいいから。
毒と言っても使いようで漢方薬になる植物もある。
しかし、専門的な知識の無いものが簡単に手をかけるものではない。

子どもがいれば、なおさらの事。庭木を選ぶときには、ガーデニングの本に掲載されているからと安易に植えるのではなく、専門家に吟味してもらった上で植樹して欲しいと切に願う。

それにしても、にっくき「毒毛虫」なのだが、なぜにあんなに華麗ともいうべき色合いなのだろうか。毒のないモンシロチョウの芋虫は世辞にも美しいと思わない。(虫に世辞を言っても仕方ないが)

きっと大昔、虫たちは悩んだだろう。
外的から身を守るため「無毒」だがブサイクな芋虫。だが、長じれば美しい蝶になる道。
「有毒」ながらも生涯において美しい姿。だが、他の生き物から嫌われる道。
翻ってこれって人の道にも通じる事に気付いた。
美しいが周りに毒を巻いている人と、毒気がなく周囲をホッとさせる人。

沖縄の黄金言葉に「容姿は皮である。心が肝心」とある。
我が家の家訓は「前と後ろがわかる程度の器量でよい。頭と心を磨け」だ。(美人へのヒガミだけれど)
サァ!あなたならどの道を選ぶだろう。

プロフィール:比嘉淳子(ひがじゅんこ)

2児の母。すっかり“沖縄のおばぁ”的存在になりつつあるこの頃。
『沖縄オバァ列伝・オバァの喝!』『オジィの逆襲』(双葉社刊)、『琉球ガーデンBOOK』『よくわかる御願ハンドブック』(ボーダーインク社刊)、『琉球新報・うない』『琉球新報・かふう』のほか、新刊『沖縄オバァ列伝・オバァの人生指南』(双葉社)が発売中。


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